2006年05月14日

ニューワールド

ニューワールド

シン・レッド・ライン」以来8年ぶりとなるテレンス・マリック待望の新作である。
この人はデビュー作「地獄の逃避行」から約30年で、たった4本しか撮っていない超寡作の監督なので、本当に待望という言葉がピッタリ来るのだが、基本的なスタイルはデビュー以来全く変わっていない。
登場人物の一人称のモノローグで語られる語り口と、登場人物の誰でもない一人称の特徴的なカメラワークはデビュー以来常に一貫している。
マーティン・シーンとシシー・スペイセクのカップルが殺人を繰り返しながら逃亡を続けていくデビュー作を始めとして、マリックの描き出す物語は血なまぐさい惨劇が多いのだが、不思議な位リアリティが感じられない。
人間同士の憎しみ、嫉妬、誤解から生まれる惨劇も、大自然の悠久の時の流れの中では一瞬のことであり、ほんのちっぽけなことでしかない。
マリックの作品においては、常に「神の視点」が存在する。
今回の新作「ニューワールド」は、アメリカ開拓時代の話である。
ディズニーアニメにもなったネイティブアメリカンの娘ポカホンタスの伝説が元ネタとなっているのだが、本来であれば理解しあえ共存出来たはずの開拓民とネイティブアメリカンが、些細な誤解と互いへの恐怖心から殺しあう惨劇に至り、主人公ジョン・スミスとポカホンタスが両者の間で引き裂かれていく悲劇の物語として描かれている。
ポカホンタスとスミスとの出会い、別れ、再会、そして死、名前を捨てレベッカという名で葬られた彼女の一生を、神は黙って見つめていた。
傑作である。

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posted by 若旦那 at 22:35 | 秋田 ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | ニューワールド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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