2005年08月25日

17歳の風景 少年は何を見たのか

東京出張の合間に、映画を一本観て来た。
「17歳の風景 少年は何を見たのか」若松孝二監督の最新作である。
2000年17歳の少年が母親を金属バットで殴り殺し、岡山から自転車で1300キロもの逃避行を続け秋田県本荘市で捕まったあの事件の映画化である。
幾多の少年犯罪の中でも、たった一人で16日間ひたすら北に向かって走り続けたという事件の特異性が当時マスコミをにぎわせたことが印象に残っている。
他人にはうかがい知ることの出来ない少年の心の闇が逃避行に駆り立てたのだろう。
4年前、フィルムコミッションセミナーで若松監督が秋田を訪れたのだが、その際に次回作の構想として、この事件の映画化を熱っぽく語っていた。
映画のルートは実際とは違っていて東京で母親を殺した少年は、富士山ろくを通り、日本海に出て新潟→庄内地方→男鹿半島→竜飛岬と北上を続けて行く。それに実際の事件は夏だったのに対し、映画で描かれているのは冬の日本海である。
寒々とした風景の中、少年はひたすら自転車を漕いで北へ向かっていく。
少年はほとんど台詞の発することもなく、風景はもちろん語ることはない。
映画の中で戦争経験者の老人と、従軍慰安婦だったことをにおわせる在日朝鮮人の老婆が自らの体験を語るところがある。
長々と続く一種異様なシーンなのだが、もしかすると若松孝二が最も語りたかったのはこの部分なのかも知れない。
単純な対比ではなく、戦争によって背負った老人たちの心の闇と、少年の闇をオーバーラップすることによって時代を語ろうとしているのだろう。
この映画は最後まで結論を出すことをしない。
主人公の少年の「その後」に思いをめぐらしたくなるような余韻の残るラストシーンが印象的だった。
バランスの悪い作品ではあるが、まぎれもない若松孝二にしか撮れない作品だと思う。







posted by 若旦那 at 00:57 | 秋田 ☁ | Comment(0) | TrackBack(2) | 17歳の風景 少年は何を見たのか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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17歳の風景 少年は何を見たのか
Excerpt: ★監督:若松孝二(2005年 日本作品) 京都シネマにて鑑賞。 ほぼ徹夜明けで臨みました。 ★あらすじ 走る、走る、ただひたすら自転車で走る。 17歳の少年(柄本佑)..
Weblog: 朱雀門の「一事が万事!オッチョンジー」
Tracked: 2005-09-18 08:50

映画「17歳の風景(少年は何を見たのか)」を観る♪
Excerpt: 20:45??22:20 上映 ひたすら北へ自転車を漕ぎ続ける少年の映像が流れ続けます。 少年が耳にすることはなかったであろうシャウト系ポエムソング(学生運動世代の懐メロなのか?)が時代錯誤的..
Weblog: 酒焼け☆わんわん
Tracked: 2006-01-30 07:13
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